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2000.01.01から2000.03.31までに、Yahoo!掲示板「ポール・オースター」に寄せられた投稿です。

●schazzie 2000年1月3日 
まず、これがオースターの自伝であるかどうかはともかくとして、父親と子どもの関
係についての思いは、第一部、第二部ともに、オースターの本心であると考えます。
訳者の柴田氏曰く、「父にたどり着かないことには自分にもたどり着けないかのよう
に、懸命に、執拗に、見えない人間の肖像を描こうと苦闘する。・・・父が見えない
という事態よりもはるかに、父を見たいというオースターの願望である」このオース
ターの切なる願望が、同様の思いを持つ私の心の鍵を開けてしまったのでした。その
感慨があまりに大きく、父子の関係以外の内容については、いまだかみ砕けていませ
ん。ただ、「記憶の書」は、今読んでいる「リヴァイアサン」に繋がっているように
思います。同じ本を読んでいるような錯覚に陥りました。

●schazzie 2000年1月5日
「孤独の発明」の次に読んだのも「偶然」といえば「偶然」。この2つの作品は、私
的にはかなり似ている部分があると感じました。 内容はもちろん違うものの「リヴァイアサン」の根底には「孤独の発明」が息づいて
いるように思われます。「ムーンパレス」のPBの表紙が「自由の女神」像でした。
その時はNYが舞台だからくらいにしか思わなかったのですが、「リヴァイアサン」
を読むと、オースターの「自由の女神」像への思い入れがかなりあることがわかりま
す。すると「ムーンパレス」の表紙は単なる「偶然」ではなかったのでしょうか?

●tsukitama 2000年1月12日
ポール・オースターは、物語を読ませる謎めいた設定が上手ですね。 「リヴァイアサン」も「偶然の音楽」同様、面白く読めました。相変わらず大変に面
白かったのですが(未読の方は以下読まないで下さい!)、唯一気になったのが、サ
ックスが森で殺した男が、マリアの友人・リリアンの夫であったという偶然?で、ち
ょっと小説的すぎるように思います。でも、とても魅力的な小説です。

●schazzie 2000年1月13日
「偶然」という言葉は、オースターの作品全部に共通していますね。そういう感覚が
読者にも伝染するのか、このところ私の生活の中にも「偶然」が多くなったような気
がします。これもまた「偶然」でしょうか?

●nomad7 2000年1月16日
私もオースターにはデビュー当時から深い想いを持っています。 特にミニマリズムの形式を好みますので、初期の3部作と共に「孤独の発明」は今で
も時々読み返します。「孤独の発明」は読む度に新たな発見があって印象が変わるよう
な、実に深い内容だと思います。タイトルからして深い、深すぎる(笑)ところで私
事で恐縮ですが、私は詩のない音楽を作っているので日頃から偶然性というものを非
常に大切にしています。偶然から紡ぎ出される断片の数々を作品に織り込んでゆくの
です。

●schazzie 2000年1月16日
「偶然から紡ぎ出される断片の数々」をメロディにするなんて、ステキですね。私に
はできませんが・・・。オースターが似ていると言われているカフカのプロフィール
を読んでいたら、確かに似ている。作品がではなく、カフカの周囲で起こったことが
オースターの周囲(作中の出来事も含む)でも起こっている。ユダヤ系の父親に特別
の感情を持っているとか、作品もオースターが「ニューヨーク三部作」なら、カフカ
は「孤独の三部作」といった具合に、数えてみればきりがありません。カフカ自体は
生前全く日の目をみませんでしたが、死後に親友が作品を整理して出版したという話
は、オースターの作品の中にもそんな話がありましたね。これはすべて「偶然」なの
でしょうか?それともオースターがカフカに似せているのでしょうか?かといって、
作品が似ているとは思えない私です。

●d93003v 2000年1月18日
しばらく掲示板から遠ざかっていました。消えてしまったかなあ、と思って覗いてみ
たらまだ続いてるじゃあありませんか。Auster には、「MOON PALACE」が届くまで
は近付かないようにしてます。ただ、Kafka には僕も興味があります。何年か前に自
殺してしまったFrance の哲学者 G.Deleuze 経由で興味を持ちましたが、とりあえ
ずは保留してあります。こんなところで繋がるとはね。

●schazzie 2000年1月18日
昨日やっと「The Art Of Hunger」を覗いてきました。買わなかったのですが。その
中にカフカの手紙やら何やら入っていたと思いますが、やはりオースター自身、カフ
カを意識(似せるという意味ではなく)しているのでしょうね。で、サインを貰えな
かった相手は、New York Giantsの Willie Maysですね?向こうの野球には詳しく
ないので、どんな人かわかりませんが、とにかくそれを知りたくて、ずっとウズウズ
してました。 分かった翌日に d93003vさんの書き込みを発見するとは、これまた「偶然」としか思
えません。テレパシーでも通じたか?

●Noondaysun 2000年1月21日
作品は未読なのですが、お伺いしたいことがありまして、お邪魔致します。5年以上
も前になりますでしょうか、書店で目をひく装丁の本を手にしたものの、購入はしま
せんでした。ハードカバー上製本・A5・モノトーンの幾何学模様か、マーブル模様
かが地になったマット紙に、トレーシングペーパーをかぶせてあって、その雰囲気が
タイトルに合っていたように記憶しております。そのタイトルにもひかれ、「孤独」
が頭についているのは間違いないのですが、「孤独の発明」だったかどうか定かでは
ありません。お心当たりございましたら、お教え願いませんでしょうか。よろしくお
願い致します。

●schazzie 2000年1月22日
お尋ねの件ですが、オースターの著作で「孤独」がついているものは『孤独の発明』
だけですので、おそらくこれだと思うのですが、私は文庫で読みましたので、ハード
カバーの装丁は記憶にありません。作者がオースターに間違いなければ十中八九『孤
独の発明』だと思います。ちなみに文庫は新潮文庫から出ています。

●Noondaysun 2000年1月22日
今日図書館に行って探したら、文庫はありました。黒地に人の顔の絵の表紙ですね?
掲示板を訪れるようになってから、ふと思い出したものですから、つい立ち寄ってし
まいました。検索して映画化された作品のいくつかがオースター作品であることも、
今更ながら知りました。残念ながら映画も未見です。「シティ・オブ・グラス」も、
そうなのですね。原題をカタカナ表記で邦題とすることには、賛否両論ありますが、
私にとってこれは「日本語でいい訳題をつけて欲しかった」典型的例です。カタカナ
だと、「グラス」は、耳で聞いても目で見ても、「硝子」なのか「草」なのかわから
ないし、どちらも考えられます。さらに英文字の表記を見ても、 Glass と Grass 。 発音上も、日本人が弱いとされるエルとアール。原作を読んで、映画を見れば、「い
かにも妥当だった」と納得出来る内容なのでしょうか?

●schazzie 2000年1月23日
「シティ・オブ・グラス」「幽霊たち」「鍵のかかった部屋」はニューヨーク三部作
として知られているものですね。3作ともテーマは共通しているものの、特に順番が
あるわけではありません。「シティ・オブ・グラス」のみが、今やオースター作品翻
訳の定番となっている柴田元幸さんではないのですが、その柴田さんは、頑なに「ガ
ラスの街」としています。三部作を並べてみると、確かに「ガラスの街」のほうが合
っているようには思いますが。映画は残念ながら見ておりません。「妥当」がどちら
に対して「妥当」なのか分かりませんが、私個人はオースターに限らず、原作と映画
は全く異なる物と考えているので、どちらもそれぞれに楽しめればいいと思っていま
すし、例え映画が不出来(逆もありますが)でも、原作の価値が下がることはないと
思います。もし御覧になったら、是非感想を聞かせて下さい。

●Noondaysun 2000年1月23日
>頑なに「ガラスの街」としています。 おお、そうでしたか。それは存知ませんでした。頑なにどこで、そう主張されたので
しょうか。他の訳本のあとがきか何かで?それはそれで頼もしい。「ガラスの○○」
というタイトルにすると、他とかぶるからという配慮もあったのでしょうか。でも、
それを言ったら「シティ○○」もそうですね。ニューヨークといえば、さしたる動機
はなかったけれど、ジェイ・マキナニーの「ブライト・ライツ・ビッグ・シティ」を
読んだことがあります。その後映画「摩天楼はバラ色に」を見たのですが、これがそ
の原作であることは、言われるまで気がつきませんでした。では来月を「未読作家強
化月間」に定めて、ポール・オースターをエントリーすることにします。>もし御覧
になったら、是非感想を聞かせて下さい。はい。せっかく未読なのですから、映画は
原作を読んでから見ることにします。あの装丁の本も、わかったらお知らせしますね。

●schazzie 2000年1月24日
「シティ・オブ・グラス」については、ご本人も作品紹介をする時に「ガラスの街」
と書いていますし、他の解説者も「柴田さんは、あとがき等でこれを『ガラスの街』
という題名で押し通しているが、後者の方が断然いい。作者にとっても読者にとって
も、第一作から柴田さんの訳で出る方が望ましかったかもしれない」などと言ってい
ます。個人的に柴田さんの訳は大好きですし、尊敬もしているんですが、そこまで言
わなくても・・・(他の解説者が)とも思います。「シティ・オブ・グラス」を訳し
た方も、けしてヘタではないと思っています。題名の相違は、翻訳者の主観の相違だ
と思いますが、私的には「三部作」として統一して欲しい半面、どちらでもいいとい
う気持ちもあります。版権の問題や何かで仕方のないこともあるのだろうと思います。

●schazzie 2000年1月24日
1冊の本を、あるいは一人の作家を、万人が全て気に入ることは、それこそあり得な
いと思うので、千差万別の意見があって当然ですね。「偶然の音楽」の最後は、死ぬ
つもりだったからアクセルを踏んだのでしょう。あり得ないと思えたとしても、所詮
はもともと作り話ですから、いいんじゃないかと思います。そこがその作品の重要な
テーマだというわけでもないのですから。また、事実は小説より奇なりで、もっと突
飛な話も実際にはあることですし。本に対する感想は、ある意味、それぞれ読者の経
験などにも関係してくると思います。 各自の経験からくる思いや考えなどに共鳴して、何かを感じると思うので、そうでな
い人もたくさんいることでしょう。そのため、読む時期によっても感想は変わること
がありますね。オースターに限らず、どんな作家の作品でもそうだと思うし、作家自
体も、そのように認識していると思います。共感を得られなくても、それはそれでい
いのだと。

●daInasia 2000年1月24日
別のトピックで、オースターと村上春樹が似ているっていうものがあるだけど、どう
思います?カフカとの関連性とか取りざたされているけれど、どうもね、しっくり来
ない。で、ボク自身、雰囲気として近いのは、安部公房だと思う。 彼の「壁」のなかの「S・カルマ氏の犯罪」は、主人公の迷走の仕方や、言語の恣意
性をついた解釈や、実存主義的な現象。そういった全てが、読んでいて「おう!これ
は、オースターやんけ!?」と、思わしめた一因です。他にも、僕の好きなトゥーサ
ンとの関連性を言う人もいて、色色ですね。確かに、オースター的ミニマリズムは、
いろんな人と交わることが多いので、そういうことにもなるんでしょう。でも、オー
スター自体、一作一作作風が変わるので、なんとも言えないものがあるけど。

●tsukitama 2000年1月25日
作品に対する感じ方は人それぞれなのでよいと思います。例えば私には村上春樹がオ
ースターに似ているとは全く思えません。「偶然の音楽」の結末に関しては、それま
でのストーリー展開から唐突な終わり方しかないなと感じていました。ミステリ作家
の中には、都合が悪くなると登場人物を殺して終わりにする人もいるようですが(実
は超能力とか・突然の災害などもあります)、そういう作品の読後感とは全く違いま
す。この結末には怒る人もいるだろうなとは思いましたが、私は気になりませんでし
た。もっとずっととんでもない本や小説、世間には沢山ありますし……

●schazzie 2000年1月25日
いろんな作家と比較されますね。>村上春樹オースターに似ているというのは初めて
聞きましたが、アーヴィングやら何やらと、よく話に出ますね。個人的にはオースタ
ーもアーヴィングも全然似ていないと思います。どうして似ていると思うかも分かり
ません。

●schazzie 2000年1月25日
オースターの作品は、そこで終わりでなくて、また続くような余韻があると思うので
すが、どうでしょう?だから「結局何なのか?」という思いがつきまとうのだと思い
ます。他の作品を読んだ時にその意味がわかることもあったりして、一話完結という
感じがしないというのもあります。全てが繋がっている感じ。それがいいかどうかは
ともかくとして、だから全部読んでみたいという衝動に私は駆られるのです。

●schazzie 2000年1月25日
村上春樹のことにしても、「偶然の音楽」の終わりかたにしても、全く同感です。 >tsukitamaさん最後が唐突であっても、人によっては曖昧だと思っても、あれがオ
ースターの持ち味であり、ミステリなどとは違って、物事を解明しなければならない
というものではないと思うので、そのまま受け入れるしかないのだと思います。そこ
に個人個人の好き嫌いが発生しても、それは当然のことですね。作品に何を読み取る
かも個人差がありますから、フィクションに関しては、それこそ百人百様の感想があ
ってしかるべきだと思います。というわけで、私はオースターは大好きです!

●tsukitama 2000年1月28日
かなり昔、白水社の『鍵のかかった部屋』(新装版前のハードカバー)を偶然手にし
てから、邦訳が手に入るものは全て読んでいます。私にはそんな現代作家はあまりい
ません。テイストが合うのでしょうが、結局、単純に面白いからだと思います。 最近、「テーマは分かるけど面白くないのが致命的」という小説が多い中、重要なこ
とだと思います。オースターと全然違いますが、カダレ、ベン・ジェルーン(訳がい
まいち)、ボールドウィン、クンデラ、マキューアン等々、大体読んでいるでしょう
か……

●schazzie 2000年1月30日
紀伊国屋の「The 100 Best Books 1900-1999」の中に『The New York Trilogy』
が、また「The Best Books of 1999」の中には『Timbuktu』が入りました。

●schazzie 2000年2月2日
Timbuktu is the story of Mr Bones, a weary dog, and his owner who is
homeless, dying and worried about who will take care of Mr Bones when he
is gone. It sounds depressing but it really asn't, and there are some
wonderful comic moments when Mr Bones seems more human than his owner. 12月にPBになった、最新作『Timbuktu』の紹介文。どうやら今度は犬の話のようです。

●d93003v 2000年2月10日
「Timbuktu」ですか。やっと出てきましたね。 今までなんで最新作の話が出てこないんだろうと思っていましたが。誰か読んだ人は
いないのかしら?MOON PALACE はまだ手をつけていません。J.DIAZ を先に読んでい
ますが、確かにわけわからん単語が多い。でもそのわけわからなさが、今の所は、わ
けわからなさとしてすんなり面白いと思えます。一度ざっと読んで、それからもう一
度単語を調べながら読もうかな、と思っています。 出てこない話といえば、『THE CHRONICLE OF GUAYAKI INDIANS』にも惹かれるもの
があります。『国家に抗する社会』の P.CLASTRE の本を AUSTER さんが翻訳したよ
うですが、その出版に至るまでの経緯がやはり『THE ART OF HUNGER』に出ていて、
なかなか面白かった。

●d93003v 2000年2月19日
この単語いろんなところで見かけます。辞書によるとアフリカの地名、もしくは、ど
こか遠いところの意、となっていますがどういう経緯でそういう意味になったのか興
味あるところです。多分地名が先なんでしょうが。なあんてどうでもいい話ですいま
せん。確かにペーパーバックの表紙は犬ですねえ。しかもあんましかわいくない。僕
は彼の小説に惹かれると言うよりも、彼の人生とか、大切にしている(であろう)も
のなどをひっくるめた『PAUL AUSTER』に魅力を感じます。実際、小説はほとんど読
んでいないし。でもすごい魅力を感じるんですよね。例えば、信じられないような
「偶然」の出来事を前にしても、そこにすぐ何か超越的なものをもってくるんでなし
に、ある意味、『人生そんなもんさ』っていうような風できちんと(?)立っている
彼にははっとさせられました。それまでの僕は、超越的なものに逃げる(?)のを避
けるあまりに、『そんなの根拠がないよ』とかなんとかわかったようなことを言って
大切な繋がりをも否定してしまっていたような気がします。

●NEKODAMA 2000年2月19日
アフリカの西海岸からニジェール河に沿ってサハラ砂漠に接するくらいまで溯ったと
こにある、古い交易都市の名前です。昔は黄金の都と呼ばれるくらい栄えていたので
すが、今はさびれたちっぽけな砂漠の街。オースターはこのタイトルでどんな小説を
書いたのかな。翻訳が待たれます。犬の絵の表紙ですか。犬の話なんでしょうかね。

●schazzie 2000年2月19日
Timbuktu または Timbuctoo (仏)Tombouctou 1.テインブクトゥ  マリ中部のNiger川左岸の町 2.《一般的に》遠隔地・from here to Timbuktu・・・ここからずっと遠い所へ 私もちょっと辞書引いてみました。みなさんのおっしゃっている通りですね。オース
ターは両方の意味を込めているのか?それとも「遠隔地」の意味なのか?はたまた、
地名なのか?「ここからずっと遠いところへ」というのもいい雰囲気だと思います。
犬のMr.Boneが、主人をたずねて三千里・・・なんて話だったりして。

●Noondaysun 2000年2月20日
強化月間に定めて読もうとして以来、図書館のオースター作品が姿を消してしまい、
実はまだ読んでいません。装丁の件も未解決で、新作の話題にも絡めないのですが、
今回はホームレスに寄り添っている犬達は、私には幸せそうに見える、ということを
言いたくて。大中小3匹の白い雑種犬をリアカーのバーにつないで、オフィスで出る
ダンボールを集めに来る方がいらして、その時間に合わせてゴミ出しをするように心
掛けていたことがあります。P社のドッグフードも荷台に積んで、高架下が定位置の
ようでしたが、通行人にからまれていた時、いつもはおとなしい3匹が、声の限り吠
えて抗議していました。 Timbuktuは、ヴォネガット作品でも、目にしたことがありますが、そういう意味だと
は存知ませんでした。

●schazzie 2000年2月21日
Noondaysunさんのお話のように、『Timbuktu』に出てくる犬(Mr Bones)の飼い主
は、ホームレスのようですね。犬の話と父親の話に弱い私は、また涙腺が弱くなって
しまうかも・・・。しかし、そこはオースターゆえ、単なるお涙頂戴ものではないは
ず。

●Noondaysun 2000年3月2日
図書館で借りて参りました。「モノトーン」は正解でしたが、「トレーシングペーパ
ーのカバー」は誤りで、両面印刷の裏面が透けた、凝った仕掛けでした。「幾何学模
様」も大外れで、男性が五面鏡に映った、あるいは同じ男性が5人、円卓を囲んだか
のような意匠です。それで表側には1人の男性の後姿、裏側に4人の男性が顔を並べ
ている、という(わかりにくい説明で申し訳ない)・・・私が装丁に惹かれたのはこ
れに間違いないと思います。矢萩喜従郎氏の手によるものでした。読む前のご報告で
す。そんなわけですので、第一歩は「孤独の発明」から入るオースター入門者を、ど
うぞよろしくお願いします。

●schazzie 2000年3月2日
彩流社の「現代作家ガイド」オースター編を買いました。 まだ冒頭しか読んでいませんが、全作品の解説と、インタビューなどなど、面白そう
です。オースター作品が比較的広汎に受け入れられる理由は、読み物としての面白さ
を備えていること、現代的な諸問題についても、押し付けがましく迫ってくるという
より、むしろ読者の想像力を心地良く刺激するような形・・・。とありました。この
あたりが一応「ポストモダンの作家」と評されていながらも、オースターを好きな理
由のひとつだと思います。ちなみに私は個人的にはポストモダンといわれるものが好
きではありません。『孤独の発明』見つかってよかったですね。装丁に惹かれて、と
いうのもその作品が好きになる要因のひとつであるように思います。そういう意味で
は装丁も大事。私は『Timbuktu』をやっと手に入れたので、読み始めたところです。

●NEKODAMA 2000年3月2日
白水社Uブックスに最近入った『最後のものたちの国で』を読んだのですが、これは
オースターとしてはちょっと異色の作品ではないでしょうか。戦争で荒廃したどこと
も知れない国を、兄を探して放浪する女性のモノローグという、一人称小説です。あ
まりオースターの中でも話題に登らない作品らしいですが、なにか架空の都市という
より現実のニューヨークあたりのダウンタウンを思わせる、荒れ果てた街の描写がリ
アルでした。。

●schazzie 2000年3月6日
『最後のものたちの国で』には、赤いノートが出てきましたよね?確か赤いノートか
青いノートかだったと思うんですが・・・。他の作品にも出てくるし、またオースタ
ーは『The Red Notebook』というエッセイかなにかも出している。 この「赤いノート」に対する思い入れは何なのでしょう?何かを象徴しているのでし
ょうか?

●hatano 2000年3月7日
私は実は『最後の〜』、オースターの作品の中でもかなり好きな部類に入るんですけ
どあんまり話題に上らないんですか?淋しい・・・。私はこの都市が、あの近所の国
を彷彿とさせて必要以上に怖かったです。こんな世界、絶対現実にあるし! ところで、『孤独の発明』はハードカバーで持ってますよー。どんな内容かも知らず
に手に取りやっぱり装丁と題名で買っちゃったくちです。こういうのもジャケ買いっ
て言うんでしょうか?

●kevyyy 2000年3月7日
かれこれ、何年前になるでしょうか、某女子大の英文科で卒論でポール・オースター
やりました。6年前かな。うちのゼミの教授はサリンジャーどまりのだめだめ教授で
オースターを知らなかった!!あったまきたから、頑張って書き上げました。(カー
ト・ヴォネガットJr.をやりたいと言ったらむげなく、却下された)そんで気付いた
のが、ノートブックだけでなく、オースターには、赤いものたちがよくよく登場して
きていました。とりあえずは「ニューヨークトリロジー」を扱ったので、あくまで、
その辺りの作品にはですけど。あと、オースター自身がインタビューで、「禅の思想
に近いものを持っている」みたいなことを言っていたっけかな。

●d93003v 2000年3月8日
AUSTER さんに会いました。昨日、大学の近くの無印良品でぶらぶらしていたら、革
製の bookcover がありました。2800円だったかな?sample があって、実際に
持ってみるとよく手になじんでなかなかいい感じだったのですが、中にぼろぼろの文
庫本が入っていたので何だろう、と見たら、『孤独の発明』でした。おやまあ、こん
なところでお会いするとは、ってところでしょうか。 まっ、そんなことはどうでもいいんですが、ちらっと中身を読んでみたところ、
mallarme の名前があったり、AUSTER 自身書評を書いたこともあるユダヤ人詩
人 edmond jabes を彷佛とさせるような部分があったり、となかなかおもしろそう
でした!ようやく diaz の『drown』を読み終わったので早いとこ『MOON PALACE』
を読もうと思います。話題にのぼっている『IN THE COUNTRY OF LAST THINGS』に
は title しか知りませんが惹かれるものがあります。ああ、読みたい本だけどんど
ん増えていく!もひとつ話題の『RED NOTEBOOK』には何が書いてあったっけなあ?
人に貸してるから確認できん。偶然にまつわる話だったかなあ、若い頃の話だったか
なあ。忘れてしまった。

●Noondaysun 2000年3月8日
>『孤独の発明』見つかってよかったですね。 schazzieさん、ありがとうございます。読み終わりました。 当時の自分の心象としては、「孤独」という題に「ピリッ」としたらしいことを思い
起こしながら、それが熟成し、かつ腐る前に本に再会出来て何よりだったと思ってい
ます。装丁については、図書館にも感謝したい気分です。 私がいつも行く図書館では、別紙カバーは粘着シートで本と一体に封印されているの
ですが、今回この本を借りた図書館では、別紙カバーは巻末に一端を貼り付けてある
だけでした。おかげで、カバーの裏表を見ることが出来、先述の二元的な仕掛けを楽
しめました。耐久性には劣るでしょうから、殊更大事に扱ったのは、言うまでもあり
ません。hatanoさん、この本をジャケ買いされたとのこと、私もこれからはもっと勘
を信じるようにします。

●schazzie 2000年3月10日
「Timbuktu」読了。主人公のMr Bonesは、ホームレスの主人に飼われている犬。こ
の主人のWillyは、コロンビア大学出の詩人である。ウィリーは肺の病気で、ボーン
ズを残してこの世を去ってしまうのだが、ボーンズの運命やいかに・・・。ウィリー
と同じTimbuktuに行けるのだろうか? 人間の言葉のわかる犬であるボーンズはまた哲学的でもある。つまり言葉があるとい
うことは、単に生きるのみならず、余計なことも考えてしまうということか?言葉遊
びも含めて不思議な文章で、何とも難しい。オースターのこの作品については賛否両
論のようだ。今までのオースター作品とは明らかに違うから。オースターも人の親に
なったのだなあと思うと同時にちょっと寂しい。張り詰めた精神の緊張がなくなった
ようだ。しかし、たまにこのような作品を書いてみたくなっただけかもしれない。 けして駄作とは思わないのだが。ただし、犬とはもっとスノッブであり、ストイック
であるように思う。主人が死んだら、その後を追うくらいの忠実さを持っているよう
に思う。そのあたりが、犬の話としては物足りない。だがこれは、犬を飼っていた者
の個人的な感傷にすぎないのかもしれないが。

●schazzie 2000年3月11日
『Timbuktu』を読んで不思議な文体だと感じたのは、どうやら私だけではなかったよ
うです。 現代作家ガイドに以下のような記述がありました。「現実世界をワンダーランドのよ
うに見せかける要因は、独特な文体にもある。 ・・・それは催眠術のようでさえあり、だんだん不思議な気分にもおそわれていく。 ・・・同時に慣用的で常套的な表現が多い」というわけで、「オースター・ワールド
とはそもそも言葉の王国なのである」ということでした。

●rikasky 2000年3月18日
20くらいのメッセージを飛ばし読みして仲間に入りたいと思って思い切って飛び込
んでみました。オースター暦は高校時代にはじめてスモークを劇場で見て以来、とい
うことは5年くらいになるのでしょうか?それもきっかけで現在英文学科に所属して
います。僕のお気に入りは孤独の発明です。この題名が何ともかっこいいではありま
せんか。孤独もlonelinessではなくsolitudeであることがたまらなくかっこいいで
はありませんか。もちろん内容に関しても血族を考察することによって自己のアイデ
ンティティーを洞察したり、あと聖書やピノキオに関する言及など、イメージが膨ら
んで非常に面白かったのです。ところでオースターに関する研究書ってどのくらい出
てますか?ユリイカと講談社か何かの特集、あと現代詩手帳くらいしか手に入らなか
ったのですが。

●schazzie 2000年3月18日
オースターのファンは、各自それなりの独自の解釈を持っているようで、様々な意見
が聞けて楽しいです。私も『孤独の発明』では泣かされました(本当に泣いたという
意味)。これもまた個人的な思い入れによるものですが。ところで、オースターに関
する書籍としては、彩流社の現代作家ガイド「ポール・オースター増補版」はなかな
か良かったです。

●rikasky 2000年3月19日
孤独の発明、僕も読むたびに泣いた記憶があります。だからレポート書くのはかなり
たいへんでした。何回泣いたことやら。ムーンパレスを読んでも泣けるんですが。と
にかく彼のかもし出す独特の不在感、不確実性が魅力です。文体なんかもヘミングウ
ェイを彷彿とさせて好きです。この感覚は例の最新作にもあるのでしょうか?マニア
的に好きなので彼がどのように書いたとしても好きになってしまいそうではあるので
すが。ホームページ、拝見させていただきました。とってもためになって、面白いペ
ージでした。これからもちょくちょく拝見させていただきます。ところで柴田さんは
僕としては翻訳家としてよりは教授という印象が強いのですが。

●schazzie 2000年3月20日
私も『ムーンパレス』ではぐぐっときてしまいました。どうしようもない孤独感と、
落ちていく感覚に共鳴したのでしょうか?しかし、必ずまた浮上するという希望も感
じています。文体について、個人的にはヘミングウェイというのは思いつきませんで
したが、たしかにあまり書きこんでいるタイプではありませんね。だからこそ読者の
想像力が広がり、それぞれ独自の解釈がなされるのでしょう。いくつか前にも書きま
したが、不思議な文体ですね。 『Timbuktu』は、これまでとはちょっと違う感じでした。 これも前に感想を書いたんですが、賛否両論あるようです。確かにこれはオースター
ではない思われる方もいるでしょうが、私はたまにはこういうのも書きたかったんで
しょうと思うのみ。オースターのスタイルはこうであると他人が決めることではない
と思います。柴田さんはまだ助教授ではなかったですか?最近の肩書きはよく知りま
せんが。東大の英語の教科書なども執筆されているので、本当に幅広く活躍されてい
ますね。










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